足を真っ直ぐに使う正しい歩き方のポイント

2018年8月5日
街を歩いている時に、ふと「あれ?足が疲れやすいな」と感じたことはありませんか?実は土踏まずが弱ってきて、足を捻じって歩いているのかもしれません。
歩くのは毎日のことですから、足が捻じれる負荷が筋肉に余計な疲労を溜め、腰痛やひざ痛を生み、最終的には股関節や膝関節が変形する原因になりかねません。
日本人は一日の平均歩数は6千歩と言われています。単純に考えて片足だけで、一日に3千回体重を支えているのです。知らないうちに体のクセが出て、関節に悪い足の使い方をしていたら、日々ダメージが溜まります。1週間で2万1千回分、1ヶ月で9万回・・・だから、正しい歩き方を覚えて、足をまっすぐに使えるようになる事はとても大事なのです。
逆にみると、今から正しい歩き方を身に付けることは、10年後、20年後に残るダメージを減らすことになります。もちろん、将来のひざ痛・腰痛のリスクを減らし、体形・姿勢の崩れを防ぐことにもつながります。
そこで今回は、ウォーキング時に足が捻じれて関節にダメージが溜まるのを防ぐために、意識をするポイントを解説しました。
土踏まずの衝撃を吸収して前へ足を進める力を生む働き
なぜ、足を真っ直ぐに動かしているつもりなのに、足を捻じって使ってしまうのでしょうか?その原因は土踏まずの構造にあります。
土踏まずは靭帯で足の指の根元の骨(中足指)がまとめられて、地面から浮く構造になっています。この空間は、私たちが歩く時に体重が乗ると一旦潰れますが、この時に伸ばされた足の裏の靭帯がゴムのように反発して元の形に戻ります。この一連の動きで、足の着地でかかる衝撃が和らげられ、次の一歩を蹴り出す推進力に変換されます。(=ショックアブソーバー機能)
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『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』より”
この機能が弱ってくると、推進力が弱まるので歩くのが遅くなります。だから、昔に比べて歩くのが遅くなったと感じていたら注意が必要です。土踏まずのアーチを支える筋肉が弱ってきていたり、靭帯が弛んできているこののサインかもしれません。
また、アーチが潰れた後に元の形に戻る反発力が弱くなると、前に進むのに余計に太ももやお尻の筋力を使う必要が出てきます。これは足が太くなる原因になります。だから、太ももの外側やお尻が大きくなってきたと感じる人も注意が必要です。
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土踏まずの変形と足の捻じれ
ところが加齢や骨折や捻挫、合わない靴を長年履いていたりすることによって、土踏まずのアーチを支えている靭帯が弛んでしまいます。こうなるとショックアブソーバー機能は弱ってきます。つまり、着地の衝撃で沈んだ土踏まずが元の形に戻り切れずに、地面を蹴る動作に移ることになるのです。土踏まずが潰れると、足首は内側に向かって傾きます。それに対してつま先は外側を向くように捻じれます。そこから地面を蹴るので、アーチが潰れる人は知らず知らずのうちに、足を捻じって使うようになります。この捻じれの負担の積み重ねが、ひざ痛や股関節痛・腰痛の原因になるのです。
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『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』より”
このように、土踏まずのアーチが潰れて足を捻じって歩いている人は、意外と自分で気付いていません。靴の踵の減り方にクセがあったり、歩くのが遅い人、歩くと疲れやすい人、親指の外側にマメやタコができやすい人などは、自分の歩き方の動画を撮影するなどして、確認してみるとよいでしょう。頭では「真っ直ぐに足を動かせている」思っていても、実は足が捻じれているかもしれません。。
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歩行時に足が捻じれる瞬間
当院では正しい歩き方の指導に、動画撮影を取り入れています。どんなにウォーキングフォームの意識が高い人でも、実際にご自分の歩き方を改めて見るという機会がないからです。ご自分の歩き方を見て、多くの人が「こんなに足を捻じって使っていたんだ」と驚かれる瞬間があります。それは後ろ足が地面を離れる瞬間です。
足を着地する時は目で確認できるので、真っ直ぐに足を使えているか分かりますが、地面を離れる瞬間は撮影しなければ確認できません。だから、とても意識と動きの誤差が出やすい瞬間です。しかし、地面を離れる瞬間に足がブレてしまえば、前へ足を運ぶ動作もブレてしまうので、着地より地面を離れる動作の方が足を真っ直ぐに使うには重要とも言えます。
⇑内側に捻じれる
⇑外側に捻じれる
このような無意識の足の捻じった使い方が、関節に余計な負担となり、ひざ痛・腰痛・股関節痛の原因となります。まずは目で確かめることが大事です。動画撮影などをして、ご自分の歩き方を確かめてみましょう。
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足を捻じらない正しい歩き方のポイント
足の踵の真ん中から中指に一本の直線をイメージして下さい。両足のこの直線が、歩行中のどの動作でも平行を保つように歩けると、関節への無駄な負荷を減らすことができます。ごく簡単なことのようですが、多くの皆さんが後ろ足が地面を離れる時に、土踏まずが潰れているのを認識できないので、無意識に足を捻じってしまいます。ですから、足を真っ直ぐ使うためには、「後ろ足が地面を離れる時に、中指が進行方向を向くように意識する」ことがポイントになります。
⇑後ろ足が地面を離れる瞬間まで、つま先が真正面を向くように意識する
地面を強く蹴るのはNG
ここまでご説明すると、後ろ足が地面を離れるのを意識するあまり、地面を一生懸命に蹴ろうとしてしまいがちです。世間一般では「親指で蹴る」「母指球を意識する」というのが常識的に語られているので、正しいようですが、実はこれはNGの歩き方です。当院で指導する正しい歩き方では「地面を強く蹴るのはNG」とお伝えしています。なぜかというと、強く蹴るということは無駄に筋肉を力ませることだからです。筋力を無駄に使えば、それだけ疲れやすくなったり、関節が固くなってケガの元になります。
正しく足を使えれば、ショックアブソーバー機能が働いて、土踏まずが元に戻ろうとする反発力が推進力に変わります。
この推進力を最大限に使えれば、筋力を使う必要がないので、疲れないし、関節を柔らかくしなやかに使うことができるのです。
親指に力が入ると足首が固くなって疲れやすい
試しに手の親指と人差し指でリングを作って下さい。その状態で手を振ってみて下さい。続いて、中指・薬指・小指を握って手を振ってみて下さい。いかがでしょうか?親指と人差し指でリングを作った時の方は、手首に力が入り、うまく触れないのではないでしょうか?
実はこれと同じことが、足首でも起こっています。先ほどの踵から中指の線をまっすぐにした歩き方では、やや内股気味になって、中指・薬指・小指が地面につくのを感じるのではないでしょうか?この状態で地面を蹴ると、力まずに足首の可動域を最大限に使えるので、疲れにくくなります。反対に、親指や母指球で地面を蹴ろうとすると、足首が固くなってかえって足が疲れやすくなるのです。
関連記事:【正しい歩き方】「親指で蹴る」「地面をつかむ」は忘れましょう!
まとめ~足を真っ直ぐに使う正しい歩き方のポイント
歩行時に足を捻じってしまうのは、土踏まずが潰れてしまって、ショックアブソーバー機能をうまく使えていないのが原因です。多くの人は「真っ直ぐ歩こう」と意識はしますが、実際に歩き方を動画などで確認できないところに盲点があります。それは「後ろ足が地面を離れる瞬間」です。
土踏まずが変形してくると、この時に私たちは無意識に、足を捻じって使ってしまいやすいのです。ですから、後ろ足が地面を離れる瞬間に中指が進行方向を向くように、特に意識して歩きましょう。そうすれば、毎日の歩き方で無駄な筋肉を使わなくなって疲れることがなくなり、将来のひざ痛や腰痛を予防できます。
ウォーキングフォームは一日二日で直るものではありませんが、コツコツ気を付けていくことで、徐々に効果が出てきます。焦らずに気長に取り組んでいきましょう。
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参考文献
・『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』新保泰秀(日本文芸社)
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