ランニングで土踏まずが痛くなる理由と3つ対策

2018年2月4日
ジョギングをしている人からの相談で多いもの一つが、土踏まずの痛みです。
最初は歩けないこともないので、「筋肉痛かな?」と放っておいても1日・2日で自然と消えてしまいますね。
でもそれで安心してはいけません。実はこれを放っておくと、足底腱膜炎(足底筋膜炎)の原因になり、負担が続くと踵の骨に棘(踵骨棘)ができることもあります。
今回は、ランナーに起こりやすい土踏まずのトラブルについて解説してみました。
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土踏まずの機能と足底筋膜炎・踵骨棘
ランナーの土踏まずの痛みを理解するうえでは、始めに土踏まずの構造と機能についてを知っておく必要があります。
土踏まずには足が地面に接地する時の衝撃を、膝や腰に伝えないようにショックを吸収する役割があります。(ショックアブソーバー機能)
ランニング時に踵から足が地面に接地すると、一度土踏まずは体重を受け止めて潰れます。
そこから足底筋膜の力で元の形に土踏まずのアーチが戻されることで、衝撃を吸収して、前に進む推進力を生む役割をしています。
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『正しく歩けば不調が消える!1日300歩ウォーキング』より❜
ですから、長距離を走れば走るほど、足底腱膜に疲労が蓄積していくことになるので、使い過ぎれば組織に細かい断裂が起きて炎症が起こります。
この状態が足底腱膜炎です。
そのため、足底腱膜炎の痛みは足底腱膜が引き伸ばされるときに痛みが出やすく、特に歩き始めるときや体重を加えたとき、立ち上がる瞬間など、土踏まずに体重がかかる時に生じやすいのが特徴です。
更にこの状態を長期間反復したり、合わない靴で無理をしていると、足底腱膜がアーチの崩れによって過度に引っ張られるので、踵の骨の足底腱膜の付着部分が、出っ張ったように余分に骨が増殖し始めて骨棘が形成されます(踵骨棘)。
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関連記事:【初心者向け】足に優しいランニングシューズの選び方
対策①:土踏まずのマッサージ
走った後は必ず土踏まずのマッサージを行いましょう。
足の裏に痛みや疲労感のない人でも、足が冷えやすかったり、足つぼマットに痛くて乗れない人は要注意です。
足底腱膜が柔らかければ、しなやかに伸縮するためショックアブソーバー機能が正常に働きます。
しかし足底腱膜の柔軟性が欠けていれば、組織に断裂が起きやすいので、足底腱膜炎の原因になります。
またショックアブソーバー機能が弱くなるので、足の裏に痛みが出る前に、膝や腰に負担が蓄積して、膝痛・腰痛が先に出てくるかもしれません。
土踏まずのマッサージを自分でするのは大変ですが、昔から青竹ふみが良いとされています。
また、ゴルフボールを踏んでゴロゴロしたりするのも有効です。
道具を使って体重を乗せると、意外と簡単に足の裏のケアができます。
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対策②:合った靴を履く 靴ひもをしっかりと結ぶ
足底腱膜炎になると、患部が刺激されないように大きなサイズの靴を履く傾向がありますが、これはNGです。
しっかりとサイズの合ったフィットした靴を履くことにより、足への荷重時に土踏まずの形が崩れるのが予防できます。
これなら、足底腱膜が過度に伸長しなくて済むので、刺激が少なくなります。
また靴ひもも、緩く結ぶよりは履く度にしっかりと縛ったほうが、土踏まずのアーチを形成する足の指の根元の骨(中足骨)の歪みを防ぐことができます。
面倒でも、シューズを履く時は必ずひもを結び直すようにしましょう。
シューズを上から見た時に、内くるぶしから少し前方の辺りが膨らんでいたら、特に注意が必要です。
土踏まずの内側のアーチが崩れてくると、踏み込むたびに内側に踵の骨が倒れるので、靴にこういう変形が起きやすいです。
この場合、足底腱膜と踵の骨を介して関係するアキレス腱も、柔軟性を失っている可能性があります。
そのため、ランニングでのアキレス腱炎・アキレス腱断裂、ふくらはぎの疲労やむくみも起こりやすくなっています。
土踏まずのケアと靴の履き方の見直しで、思わぬ故障を未然を防ぎましょう。
関連記事:【足首の可動域を活かすランニングシューズの選び方】
対策③:インソールの活用
ランナーが距離を踏むトレーニングをすればするほど、土踏まずは消耗するものなので、インソールを使って地面との空間を埋めるのも足の裏の痛みを防ぐ大切な予防法です。
土踏まずが盛り上がったインソールを使うことで、土踏まずが潰れるのを防ぐ機能が働き(アーチサポート)、足底腱膜の過度な伸長を防ぐことができます。
ただ難しいのが、しっかりとしたアーチサポート機能を求めるならば、ある程度の素材が固めのインソールが必要なのですが、市販品では万人に合わせた構造になっているために、固すぎると痛みや違和感が出てきやすくなってしまうという点です。
当院では、お一人お一人の足型を石膏で丁寧に型取りして作るオーダメイド矯正インソールをご用意しております。
インソール選びにお困りでしたら、お気軽にご相談下さい。
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まとめ:土踏まずのケア・靴選び・インソールの活用
ランナーに起こりやすい土踏まずのトラブル・足底腱膜炎と踵骨棘についてを解説させて頂きました。
距離を多く踏むランナーは、土踏まずのショックアブソーバー機能を過度に労費するので、土踏まずの負担を和らげる工夫をすることが故障防止には絶対に必要です。
なぜなら、土踏まずのアーチの崩れは、足底腱膜炎だけでなく、アキレス腱炎や膝痛・腰痛など、他の故障の原因にもつながるからです。
また、ショックアブソーバー機能が正常に働けば、推進力が生まれるので記録更新にもつながります。
それなので、故障防止・記録更新のためにもショックアブソーバー機能の維持の3つポイントを抑えましょう。
①土踏まずのマッサージを習慣化する
②サイズの合った靴を履き、靴ひもはしっかりと結ぶ
③アーチサポートのしっかりしたインソールを使う
当院のクライアント様には、以上の3点を実行するだけで、「故障が少なくなっただけでなく、ランニングフォームも良くなって、記録が伸びている」と指導者に褒められた長距離選手もいらっしゃいます。
ぜひとも取り入れて、健康的なジョギングライフを楽しんで下さい。
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参考文献:ランニングで土踏まずが痛くなる理由と3つ対策
『ネッター解剖学アトラス』Frank H.Netter 訳・相磯貞和 (南江堂)
『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』新保泰秀(日本文芸社)
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