ヒールで膝を痛めない9つのポイント

2018/04/03 15:32

ヒールのある靴が苦手になり暫く履いてなかったけど、冠婚葬祭でやむなく履いたら膝や腰を痛めたという話を聞いたことはありませんか?女性にとって必需品のパンプスなどのヒールの高い靴は、何も意識しないで履いていると、姿勢が悪くなり、腰痛・膝痛や足のむくみの原因になります。でも9つのポイントを意識すると、痛みの原因を防ぎながらオシャレを楽しめます。今回は「ヒールで膝を痛めない9つのポイント」をご紹介します。

 

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①    バランスポイントで立つ

 

ヒールを履くと背伸びをしている状態と同じなので、重心の位置がつま先に移動します。そうすると太ももの前側(大腿四頭筋)や足の指に力が入ってしまい、無駄なパワーが使われます。この疲れの蓄積が、膝痛や足のむくみ・外反母趾などの原因になります。

 

ですから、重心を本来あるべきところに戻さなければいけません。本来、重心があるべきところを「バランスポイント」と言います。バランスポイントは踵の骨の少し手前、外くるぶしと内くるぶしを結んだ中心の辺りにあります。

 

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 『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』より❜

 

この位置に体重が乗ると、脛の骨が真っ直ぐに立つので、体重を効率的に支えることができ、筋肉の無駄なパワーを使わないですむので、膝痛や足のむくみの原因となる疲労の蓄積が少なくなります。

 

※関連記事:【ふくらはぎのむくみを改善!足の冷え解消法】

 

②    肋骨を上げる(ドローイン)

 

バランスポイントを意識しても、肋骨が作る鳥かご(胸郭)は背骨の前側にぶら下がっているので、その重みで垂れ下がり猫背の原因となります。猫背になると重心が前へ移動しやすくなるので、バランスポイントを維持しにくくなります。

 

そこでおへそを少し引っ込める意識で肋骨を上向きにします。そうすると、胸が開いて背すじが伸びてきます。この状態でバランスポイントに重心を乗せると、背骨から足の骨が一直線に並びやすくなるので、身体の無駄な力みが抜けます。バランスポイント・肋骨の引き上げを身に付けると、猫背にもなりにくくなるので、肩こりや首のこりも楽になってきます。

 

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『腹を凹ます体幹力トレーニング』より❜

 

 

※関連記事:【姿勢改善で肩こり解消2つのポイント】

 

 

③    軸のまっすぐな靴を選ぶ

 

歩く時に足首の関節がまっすぐに動くと、踵から人差し指へ重心は移動します。ですから、足首を真っ直ぐに動かせる靴は、踵から人差し指がまっすぐ一直線に結ばれる靴になります。これが曲がっていると、歩を進める度に足首を捻じることになるので、膝や股関節に負担が溜まり、痛みの原因になります。また、この足を捻じった歩行は、お尻や太ももの外側・脛の外側を酷使するので、足が太くなる原因となります。

 

 靴の軸については、スニーカーや革靴などヒール以外の靴選びにも重要な点なのですが、軸が曲がっていると足が小さくかわいらしく見えるため、とりわけ女性物の靴には目立ちます。画像の靴のように踵の頂点と踵の中心を結んだ線の延長上が、薬指や小指になってしまう靴は自然と内股になってO脚の原因になるので、避けるようにしましょう。

 

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※関連記事:【扁平足の原因とインソールを使った矯正】

 

④    つま先と踵の平行性

 

ピンヒールは特に踵のゴムが削れてくると、踵が真っ直ぐに立たず、つま先側と踵側の接地面が平行を保てなくなります。このような靴を履いていると、外側に体重が逃げて、足首をくじいたりO脚の原因となります。

 

踵のゴムは元の状態から1~2/3程度削れたら、早めに交換するようにして下さい。

また、交換してもつま先側と踵側が平行にならず、靴が玄関で自立しなくなってしまったら、靴の構造自体が捻じれてしまった証拠なので、その靴は履かないようにしましょう。

 

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また踵のゴムが完全になくなり、踵の芯の金具を「カツカツ」と鳴らして歩いている人をたまに見かけますが、踵の芯の金具が曲がったら、靴の構造自体が崩れてしまい、その靴は膝痛やO脚の矯正具になってしまいます。絶対に金具が剥き出しになるまで、履きつぶさないようにして下さい。

 

また、格安の靴の場合、店頭で並んでいる時点でつま先側と踵側の平行性が取れていない靴もあります。購入する時にもしっかりと、つま先側と踵側の平行性を確認しましょう。

 

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なおヒール靴を購入の際は、身体にダメージの少ない構造や素材の品物を選ぶには、選び方に慣れないうちは定価3万円が予算の目安になります。

安い靴と高い靴を触ったり履き比べていると、目が利くようになります。バーゲンなどを利用すれば、3万円以下の商品でも良い靴を探せるようになります。

 

関連記事【ヒールを履いて土踏まずが痛い時の対処法】 

 

⑤    ソールの固さ

 

ヒール靴はここまでご説明したように、履いているうちにとてもつま先側と踵側が捻じれやすい構造になっています。ですから、靴の底の材質が固く捻じれにくいモノの方が、足首や膝を痛めにくい靴になります。

 

靴を選ぶ際に、少しつま先側と踵側を雑巾を絞るように捻じってみて、捻じれにくい商品を選んで下さい。

1万円以下のヒール靴と3万円以上のヒール靴を比べてみると、素材の固さの違いが分かりやすいです。

 

関連記事【ふくらはぎのむくみを解消する歩き方のポイント】

 

⑥    踵の形が合ったものを選ぶ

 

踵がパカパカ抜けてしまうヒールは、脱げないように足首を固めないと歩けないので、無駄な力が足に入って疲れやすくなります。この疲れの蓄積も膝の痛みや腰痛の原因になります。

 

パンプスの場合、踵は靴を足にフィットさせる重要な部分です。

ご自身の足のサイズを測り直して、正しいサイズの靴を選ぶようにして、踵がしっかりとフィットする靴を選んで下さい。

 

また、人によってアキレス腱部分の踵のカーブが違う様に、靴の踵部分のカーブも様々です。この形が合っていないと、踵部分のホールドが弱くなったり、歩く度に踵がズレて靴擦れの原因となります。鏡などでご自分の踵のカーブを確認して、それに合った靴を探すのも足を痛めずにヒール靴を楽しむ重要なポイントです。

 

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靴の踵の形状は、上から見てもさまざまです。

購入の際は、必ず試着して歩いた時のアキレス腱のフィット感も確認して、パカパカ抜けない靴を選びましょう。

 

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⑦    足の甲にバンドがあるものの方が足に優しい

 

足の筋肉をリラックスさせて歩くには、足首の関節を大きく使うことが必要です。踵がパカパカしてしまうと、靴が脱げないように足首を力ませてしまうので、スネが疲れて太くなったり、ふくらはぎがむくむ原因になります。

 

足の甲にバンドがあると、踵のパカパカが防げるので足が楽になります。バンドがついていない靴には、別売りのバンドを使用するとこれを防げます。

 

ヒールを履きつつ、足をリラックスさせて膝の痛みを防ぐには、踵が靴の中で浮かないようにする工夫がとても大事なのです。

 

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関連記事【足を真っ直ぐに使う正しい歩き方のポイント】

 

⑧    足の甲の曲がりと靴の構造

 

足の甲の曲がる部分は人それぞれ違います。また靴によっても違いがあります。サイズが合っていても、ご自分の足の動きとの整合性がなければ、歩きにくく、疲れが溜まってひざ痛や腰痛・外反母趾の原因となります。。

 

購入の際は、靴の横で足をつま先立ちにしてみて、ご自分の関節の曲がり方と合った靴かを確認しましょう。

 

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⑨    ヒール用インソール

 

ヒールの高さが上がれば上がるほど、土踏まずが浮いて不安定になります。この不安定の分、足の指や土踏まず・ふくらはぎなどに無駄な力が入り、疲労や痛みの原因となります。ですから、土踏まずを支えてくれる構造のインソールを入れると、ヒールで足を痛めにくくなります。

 

但し、ヒール用のインソールはとても難しいです。ヒール用のインソールを使用する際は、信頼のおける専門家に相談することをオススメします。

 

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関連記事:【身体の歪みを土台から防ぐオーダーメイド姿勢矯正インソール】

 

まとめ~ヒールで膝を痛めない9つのポイント

 

疲労や足腰を痛めるのを防ぎつつ、ヒール靴でオシャレを楽しむには、①姿勢②靴選び③インソールの3点を押さえることが重要です。

 

姿勢は重心をバランスポイントに乗せるようにして下さい。また購入の際は、しっかりと靴の構造が自分の足の構造にマッチしているかも確認しましょう。

インソールの検討をすると、更にヒール靴で立ったり歩いたりが楽になります。

 

高齢になって外反母趾がひどくなって、「履く靴がない」「若い頃に我慢してヒールの高い靴を履き続けなければ良かった」とおっしゃる方が非常に多いです。

若いうちは我慢すれば合わない靴に合わせられますが、それで変形してしまった足は元に戻せません。健康にオシャレを楽しむために、ぜひ「ヒールで膝を痛めない9つのポイント」を活用して下さい。

 

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参考文献~ヒールで膝を痛めない9つのポイント

 ・『正しく歩けば不調が消える! 1日300歩ウォーキング』新保泰秀(日本文芸社)

『「筋肉」よりも「骨」を使え』!甲野善紀・松村卓(ディスカバー携書)

『靴底の外側が減らなくなると体の不調も消える』新保泰秀(主婦の友社)

『腹を凹ます体幹力トレーニング』木場克己(王様文庫)